おいしくて健康効果が期待できるチョコレート、「高カカオチョコレート」。
昨今、BIOマーケットやスーパーなどでも「カカオ〇〇パーセント」などと書かれたパッケージをよく見かけます。
ダイエットや糖尿病予防などのメリットが取り上げられる高カカオチョコレートですが、健康面での危険性・注意すべき点もあります。
今回は、安心しておいしく食べられる高カカオチョコレートについて、チョコレートの研究結果を紐解いて解説し、最後に安心して食べられる「ピュアチョコレート」をご紹介します。
チョコレートを選ぶ上での一助となれば幸いです。
安心のピュアチョコレート | |||||
製品名 | 有機カカオ100%チョコチップ クーベルチュール | オーガニック クーベルチュールチョコレート | 有機ダークチョコレート シーソルト | チョコレートソール ダークチョコレート | オーガニック ダークチョコレート |
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メーカー | RAIN FOREST HERBS | VANVLiET | ALCE NERO | 株式会社ミトク | シェフズチョイス |
産地 | ペルー | スイス | イタリア | スペイン | ペルー |
オーガニック認証 | 有機JAS認定 | 有機JAS認証 | 有機JAS認証、EUオーガニック認証取得、フェアトレード認証 | 有機JAS認証、ヴィーガン認定グルテンフリー | 有機JAS認証。GMOフリー。 |
カカオ含有率 | 100% | 74% | 70% | 86% | 70% |
原材料等 | 有機カカオマス。砂糖、人工香味料・合成着色料・乳化剤(大豆レシチンなど)・精製された植物性油脂・ワックスなどの添加物も不使用 | 有機カカオマス、有機粗糖、有機カカオバター、有機カカオパウダー、有機バニラパウダー | 有機カカオマス、有機砂糖、有機ココアバター、食塩、有機バニラ(一部に乳成分を含む)。乳化剤不使用。 | 有機カカオマス、有機砂糖、有機ココアバター、有機バニラビーンズ(一部に乳成分を含む)。 | 有機カカオマス、有機きび砂糖、有機カカオバター、有機ナチュラルカカオパウダー |
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この記事でわかること
チョコレートに含まれる成分
まずは健康効果が期待できるチョコレートの栄養成分について解説していきます。
優れた抗酸化作用「カカオポリフェノール」
チョコレートの原料であるカカオ豆は、カカオの実の内側にある種子で、カカオポリフェノールを豊富に含んでいます。
カカオポリフェノールは抗酸化物質とも呼ばれ、体内でつくられる活性化酸素を除去する働きがあります。
例えば、心筋梗塞は心筋細胞の中で活性酸素が増えることで引き起こされますが、カカオポリフェノールの摂取によって、心筋細胞内の活性酸素を減らし、結果として心筋梗塞の予防につながる可能性があります。
他にも、心血管疾患や炎症性疾患、代謝障害、がん予防など多くの薬効が期待されています。(参考:カカオポリフェノールとその人間の健康に対する潜在的な利点)
・フラバン3-オールはメタボリックシンドロームの危険因子を改善します – J Clin Biochem Nutr. [National Library of Medicine]
・心筋梗塞によって細胞死が進行するメカニズムを解明―治療後に起きる細胞死-フェロトーシス-を抑制する心不全治療法の開発― – 京都大学
カカオプロテインの効能
大豆に大豆プロテインが存在するように、カカオ豆にもカカオプロテインが含まれています。
このカカオプロテインの主な効能は、腸内環境を整えることで便通の改善が見込めること。
じつは、カカオプロテイン自体が消化酵素で分解されにくいタンパク質であるため、小腸では吸収されず、そのまま大腸に到達することがわかっています。
大腸ではカカオプロテインが腸内細菌のエサとなり、善玉菌を増やすことが帝京大学の古賀准教授の研究で示唆されています。
テオブロミンの効能
チョコレートを食べるとむし歯になると昔から言われますよね。
しかしカカオの抽出物であるテオブロミンには、むし歯の原因菌といわれるミュータンス菌を減らす効能があることが報告されています。
実際にアメリカでは、テオブロミンを使用した歯磨き粉「Theodent」が販売されており、フッ素入り歯磨き粉を超える効果が期待できるとして注目を集めています。
この「Theodent」を子供たちに継続使用してもらい、テオブロミンのむし歯予防効果を証明した研究もあるのです。
・Comparative Evaluation of Antimicrobial Efficacy of Theobromine Toothpaste and a Low-fluoridated Toothpaste against Plaque Streptococcus mutans in Children
・歯とお口のことならなんでもわかるテーマパーク8020
・大阪歯周病治療・検査サイト
高カカオチョコレートの健康効果
ダークチョコレートとも呼ばれる高カカオチョコレートは、カカオマスが70%以上含まれているチョコレートで、より強力な健康効果が期待されています。(普通のチョコレートは、カカオ30〜40%)
高カカオチョコレートに含まれるポリフェノールは抗酸化特性を持ち、心血管予防、抗炎症作用、がん予防、さらに血管機能を改善するなど、さまざまな健康に有益な効果が見られます。
以下に高カカオチョコレートの健康効果を挙げてみましょう。
動脈硬化の予防
カカオポリフェノールを多く含む高カカオチョコレートには、コレステロール値を下げる効果があることがいくつかの研究によってわかってきました。
高カカオチョコレートの摂取と脂質状態の関係性を明らかにしたTokeda氏らの研究では、高カカオチョコレートを食べた結果として、総コレステロール値とLDLコレステロール値の低下が見られたことを発表しています。
LDLコレステロールの増加は動脈硬化を促進するため、脂質異常症の改善の他、心血管疾患予防の観点からも高カカオチョコレートの摂取はおすすめです。
さらに別の疫学研究では、カカオポリフェノールの定期的な摂取が冠状動脈性心疾患や脳卒中のリスクを軽減することがわかりました。(参考:Cocoa and cardiovascular health)
また、心血管系の保護に重要な内皮型NO合成酵素を活性化させ血管の拡張を促すほか、カカオに含まれるフェノール類は、血栓症の原因となる血小板の活性化を阻害し、血液が凝固する傾向を減少させることがわかっています。(参考:Dietary flavanols and procyanidin oligomers from cocoa (Theobroma cacao) inhibit platelet function)
加齢に伴う血圧上昇や動脈性高血圧の発症から守られている数少ない文化の一つに属するクナ族インディアン(パナマ)で初めて報告された。これらの健康効果は、大量のカカオの摂取と相関関係があります。臨床研究では、他の汎アメリカ国民と比較して、クナ族は血圧が低く、心血管イベントによる死亡率が低いことが明らかになった
・カカオポリフェノールとその人間の健康に対する潜在的な利点 – HINDAWI
・日本チョコレート・ココア協会
・Effects of cocoa products/dark chocolate on serum lipids: a meta-analysis – National Library of Medicine
高血圧の改善
高血圧もLDLコレステロールと同様に、心疾患のリスクを高める一要因です。
カカオポリフェノールには血圧を下げる効果もあることがIsaacらの研究で明らかになりました。(参考:Effect of Cocoa Beverage and Dark Chocolate Consumption on Blood Pressure in Those with Normal and Elevated Blood Pressure: A Systematic Review and Meta-Analysis)
カカオ飲料と高カカオチョコレートの摂取が血圧にどのような影響を与えるかを調べたこの研究では、どちらのカカオ製品においても2週間以上摂取した場合に限り、血圧の低下が認められました。
加えて、この研究で注目すべきもう一つの結果は、カカオ飲料を飲むよりも高カカオチョコレートを食べた方が収縮期血圧の低下が大きかった点です。
また、別の研究では、本態性高血圧症20人に、1日あたり100gのダークチョコレートを(88mgのフラバノールを含む)を摂取させ、7日間の休薬期間の後、さらにフラバノールを含まないホワイトチョコレートを1日あたり90g、それぞれ15日間摂取させました。
その結果、ダークチョコレートを摂取した期間のあとのみ、血圧、インスリン抵抗性を低下させ、FMD(血流依存性血管拡張反応)を改善させ、LDLコレステロールを減少させました。
このことから、高血圧症患者が定期的にカカオ製品を摂取すると、心臓血管に対して一定の効果をもたらすことが期待されます。(参考:参考:Cocoa reduces blood pressure and insulin resistance and improves endothelium-dependent vasodilation in hypertensives)
・Health Benefits of Dark Chocolate – Health
・Cocoa and Dark Chocolate Polyphenols: From Biology to Clinical Applications
老化防止
過度なストレスや、紫外線、喫煙などによって過剰に生じた体内の活性酸素は、老化や動脈硬化の原因になります。
活性酸素を除去し、細胞の傷害を抑える抗酸化物質のポリフェノールの一種であるフラボノイドは、赤ワインやベリー類、コーヒーや緑茶などに多く含まれます。
紅茶、緑茶、赤ワイン、カカオのフェノール含有量とフラボノイド含有量、および総抗酸化能力を比較した研究では、カカオはお茶や赤ワインよりも高い抗酸化力を示しました。参考:Cocoa has more phenolic phytochemicals and a higher antioxidant capacity than teas and red wine
糖尿病予防
ダークチョコレートのカカオフラバノールは、糖尿病の原因となるインスリン感受性の低下を防止する効果もあります。
カカオポリフェノールは 糖質の吸収を遅らせインスリンの効きを高めることがわかっています。
ダークチョコレートとホワイトチョコレートのインスリン反応を比較する試験によると、ダークチョコレートは健康な人のインスリン感受性を大幅に上昇させ、血圧を低下させたそうです。(参考:Short-term administration of dark chocolate is followed by a significant increase in insulin sensitivity and a decrease in blood pressure in healthy persons)
このように、高カカオのチョコレートは、血圧降下、抗炎症、抗血小板機能、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の減少、またはHDLコレステロール(善玉コレステロール)の増加、脂質異常症予防など、さまざまな健康的なベネフィットが期待できるのです。
チョコレートの危険な砂糖と脂、添加物
多くの健康的利点を持つチョコレートですが、摂取量によっては悪影響もあります。
それはチョコレートの製造過程において、大量に加えられている、食品添加物や砂糖、さらに脂です。
ここでは、特に乳化剤・白砂糖・精製加工油脂のそれぞれの役割と健康的な問題について詳しく解説します。
チョコレートの乳化剤「レシチン」
チョコレートの原材料表示に、よく記載されている食品添加物が乳化剤です。
チョコレート製造過程における乳化剤添加の目的は、互いに混ざりにくい砂糖・カカオマス・加工油脂の3つをしっかりとつなぎ、なめらかな食感に仕上げるためです。
チョコレートに使用される乳化剤は大豆レシチンである場合が多く、大豆の種子から抽出されるため安全性に問題はないと考えられています。
しかし、ここで留意すべき点は大豆アレルギーです。大豆がチョコレート自体に含まれているとは想像がつきにくく、大豆アレルギーを持っているにも関わらず誤って食べてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
アレルギー症状としては、かぜ症状や、じんましん・湿疹などの皮膚トラブル、腹痛や胃けいれんなどが挙げられます。
・チョコレートに含まれる添加物! 正しいチョコレートの選び方とは? – 翔栄ファーム
・Chocolate allergy vs. chocolate sensitivity – Medical News Today
大量の白砂糖
チョコレートの甘味料としてほとんどの製品に使われているのは白砂糖です。
10gの70%ダークチョコレートには2.1g、40%ダークチョコレートでは4g、ミルクチョコレートには5gの砂糖が含まれています。
ミルクチョコレートは砂糖を多く含んでおり、50gの板チョコ1枚を食べた場合、約25gの砂糖を摂取することになります。
そして、この白砂糖の健康的影響に関しては専門家でも意見が分かれています。
英国スウォンジー大学のベントン教授は、砂糖を含む糖は脳のエネルギー源であるため、糖を摂取することにより思考力や記憶力などが活性化されるとの見解を示しています。
一方、WHOは肥満とむし歯の観点から、砂糖を含むフリーシュガーの摂取量を総エネルギー摂取の10%未満に抑えることを強く推奨しています。
・チョコレートと砂糖のおはなし – 日本チョコレート・ココア協会
・WHAT IS THE SUGAR CONTENT OF CHOCOLATE ? – puratos
・科学的根拠を基に「砂糖と健康」を考える – 精糖工業会「砂糖と健康」研究プロジェクト
・明治ミルクチョコレート 50g – 株式会社明治
精製加工油脂「ショートニング」
精製加工油脂とは、ほとんどの市販チョコレートの原材料表示にある植物油脂のことです。
口溶けの良さを左右するのが植物油脂であるため、各チョコレートメーカーが強いこだわりを持つ原材料の一つです。
代表的な精製加工油脂としてはショートニングが挙げられ、日本のほとんどのお菓子に使用されています。
一方、米国ではこのショートニングの使用に規制をかけています。理由は、ショートニングが作られる過程で水素が添加されることによりトランス脂肪酸が生じる可能性があるためです。
トランス脂肪酸の摂取はLDLコレステロールを増加させ、HDLコレステロールを減少させるため、心疾患や脳卒中を発症する引き金となります。
これを受けて米国ではトランス脂肪酸の摂取は総エネルギー摂取量の1%未満にすることをガイドラインに明記しています。
チョコレートの健康的恩恵はあるものの、市販のチョコレートは高カロリーであるため、大量に摂取すると体重増加など悪影響を及ぼす可能性があるというわけです。
高カカオチョコレートの危険性
高カカオチョコレートに溜まるカドミウム
また、健康とうたわれる高カカオチョコレートに有害物質カドミウムが多量に含まれていることを明らかにしたのは、国民生活センターの調査レポートでした。
チョコレートの原材料はカカオ豆です。カドミウムはカカオ豆の生産地である熱帯地方の土壌に含まれており、カカオ豆の胚乳部分に溜まります。
結果的に、カカオ含有量が多い高カカオチョコレートからカドミウムが検出されることは、当然のことかもしれません。
カドミウムが危険とされる理由は、肝臓・腎臓などの臓器や骨にダメージを与えるためです。
また、過去に富山県で起こったイタイイタイ病の原因は、鉱山からのカドミウムの排出により引き起こされました。このことからも、カドミウムの毒性の強さが伺えます。
・チョコレートには「カドミウムや鉛が基準値以上に含まれている」との調査報告、専門家らが有害物質の低減策を提唱 – gigazine
・高カカオをうたったチョコレート(結果報告) – 独立行政法人 国民生活センター
・イタイイタイ病とは – 富山県
おすすめは安心安全のピュアチョコレート
ここまで書いてきたように、チョコレート、または高カカオチョコレートの安全性を考えるならば、原材料が判断基準となるでしょう。
チョコレートは成分規格により4つの種類に分類されており、原材料のカカオの割合によってこのカテゴリーが分かれます。
チョコレート生地 | 準チョコレート生地 | |||
カカオ分 | カカオ35%以上または、カカオ21%+乳固形分が35% ※うちココアバターが18%以上 |
カカオ15%以上または、カカオ21%+乳固形分が35% ※うちココアバターが3%以上 |
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チョコレートの種類 | チョコレート | チョコレート菓子 | 準チョコレート | 準チョコレート菓子 |
定義 | チョコレート生地が60%以上のもの | チョコレート生地が60%未満のもの | 準チョコレート生地が60%未満のもの | 準チョコレート生地が60%未満のもの |
※乳固形分とは、乳脂肪と植物油脂で構成される成分。乳固形分は乳脂肪の3%以上が必要。(残りは植物油脂)
上記の表で示されるように、チョコレートの定義はカカオの割合によって決まるわけです。
逆に言えば、カカオや乳脂肪分以外の成分は、ショートニングなどの植物油脂で出来ているわけですから、健康的なチョコレートは、よりカカオ(またはココアバター)の含有量が多く、さらに植物油脂をなるべく使っていないものになるわけです。
そこで最もおすすめなのがピュアチョコレートです。
ピュアチョコレートの基準には、レシチン・砂糖・植物油脂の含有率が明確に定められています。
乳化剤レシチンは全重量の0.5%以下、砂糖は全重量の55%以下、ショートニングを含む植物油脂に関しては使用不可です。
不要な植物油脂が入っておらず、カカオの香りが濃く感じられるのがピュアチョコレートの特徴だともいえます。
また、チョコレートの製造過程でトランス脂肪酸が発生しないため、心疾患や脳卒中についての心配は不要と考えて良いでしょう。
おすすめピュアチョコレート5選
RAIN FOREST HERBS 有機カカオ100%チョコチップ
VANVLiET オーガニック クーベルチュールチョコレート
ALCE NERO 有機ダークチョコレート シーソルト
