皆さんは、「指定野菜」という言葉をご存知ですか?聞き慣れない方も多いのではないでしょうか。
今回は、ブロッコリーが指定野菜になった理由やブロッコリーに含まれている栄養素、簡単レシピを解説します。
この記事でわかること
ブロッコリーってどんな野菜?何故指定野菜に?
まずブロッコリーとはどんな野菜か、指定野菜とは何かについて解説していきます。
ブロッコリーの分類
Photo by Unsplash: Louis Hansel
ブロッコリーは、アブラナ科アブラナ属に分類される緑黄色野菜です。
実は私たちが普段食べている部分は、葉ではなく蕾で、花蕾(からい)と呼ばれています。
ブロッコリーの歴史
ブロッコリーの起源は地中海沿岸で、古代ローマではすでに普及していたようです。その後、15〜16世紀頃にはヨーロッパ各地へ伝わり、19世紀頃には、アメリカのカリフォルニアでも栽培が始められたとされています。
日本においては、明治時代にアメリカから伝来したようですが、庶民に普及するには至りませんでした。
本格的に栽培され始めたのは1960年代後半頃で、一般家庭に普及したのは1980年代とされています。
ブロッコリーが指定野菜に選ばれた理由
ブロッコリーは、近年出荷量が増加していること、日本人にとって重要な野菜であるといった理由で、2026年度から新たに指定野菜に追加されます。
「指定野菜」とは、日本人が多く消費する野菜であり、安定した供給・価格であることが求められる野菜のことです。日本人の食生活に欠かせない野菜とも言えますね。
指定野菜とは?
現在、キャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、トマト、ナス、にんじん、ねぎ、はくさい、ピーマン、レタス、玉ねぎ、じゃがいも、ほうれん草の14品目が指定されています。
指定野菜に準ずる「特定野菜」も35品目あり、今までブロッコリーはこちらの特定野菜に分類されていました。2026年度から、15番目の指定野菜として追加されます。
指定野菜 | 特定野菜 |
14品目 | 35品目 |
キャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、トマト、ナス、にんじん、ねぎ、はくさい、ピーマン、レタス、玉ねぎ、じゃがいも、ほうれん草 | アスパラガス、いちご、えだまめ、かぶ、かぼちゃ、カリフラワー、かんしょ、グリーンピース、ごぼう、こまつな、さやいんげん、さやえんどう、しゅんぎく、しょうが、すいか、スイ-トコーン、セルリー、そらまめ、ちんげんさい、生しいたけ、にら、にんにく、ふき、ブロッコリ-、みずな、みつば、メロン、やまのいも、れんこん 、ししとうがらし、わけぎ、らっきょう、にがうり、オクラ、みょうが |
ブロッコリーの栄養価
ブロッコリーには、ビタミンをはじめ、ミネラルや食物繊維など、健康に有益な栄養素が豊富に含まれており、抗酸化作用や、抗菌作用、神経保護作用など多くの効能を発揮します。
ブロッコリーのミネラルが豊富
カリウム
100gあたり460mg含まれています。カリウムには利尿作用があり、体の余分な塩分・水分を排出する効果があります。そのため、むくみの改善や高血圧予防につながります。
鉄
100gあたり1.3mg含まれています。貧血の予防には欠かせない栄養素です。特に月経期の女性は鉄不足を引き起こしやすいので、積極的に摂りたい栄養素です。
ブロッコリーのたんぱく質
ブロッコリーは野菜にも関わらず、なんと100gあたり5.4gものたんぱく質が含まれています。野菜類の中では、トップクラスの含有量です。
スルフォラファン
フィトケミカルの一種です。フィトケミカルとは、植物に含まれている化学成分のことです。熱に弱く、油に溶けやすい性質を持っています。発がん物質を解毒する作用、抗酸化作用、胃の健康維持、ピロリ菌の殺菌作用など、様々な効果が期待できる注目の栄養素です。
ビタミン
ビタミンC
100gあたり140mg含まれています。ビタミンCも野菜類の中ではトップクラスの含有量です。水に溶けやすい性質を持っているため、調理方法に注意が必要です。
ビタミンK
100gあたり160µg含まれています。カルシウムの骨への吸収を助ける働きがあります。同じ働きを持つビタミンD(キノコなどに含まれている)と一緒に食べると、さらに効果が期待できます。また、油に溶けやすい性質を持っているため、油で炒めると吸収率がアップします。
β-カロテン
β-カロテンは、100gあたり810µg含まれています。体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜、目の健康維持に役立ちます。
葉酸
100gあたり210µgの葉酸が含まれています。ビタミンB群の一種で、貧血予防に効果的です。また、妊娠初期の胎児の成長に関わる重要な栄養素でもあります。
ブロッコリーのおすすめ調理方法
ブロッコリーにはそれぞれ、水に溶けやすい栄養素、油に溶けやすい栄養素があるとお伝えしました。
そこで、なるべく栄養を逃がさないようにするための調理方法を解説します。
ブロッコリーの下処理方法
ボウルに水をはり、花蕾の部分を下にして振り洗いをします。蕾の部分にゴミや汚れがつきやすいためです。
また、水に溶けやすい栄養素の流出を防ぐため、できるだけ素早く洗います。その後、1房ごとに切り分けます。
ブロッコリーの茹で方
鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩を小さじ1程度加えます。沸騰後ブロッコリーを入れ、2~3分ほど茹でます。ざるにあげ、粗熱を取ります。
レンジでの加熱
耐熱容器にブロッコリーと大さじ1程度の水を入れます。ふんわりとラップをし、600Wで2~3分ほど加熱します。ラップを外し、粗熱を取ります。
栄養素を逃がさない調理方法は?
ブロッコリーの栄養素を逃がさない調理方法は、レンジでの加熱がおすすめです。
水に溶け出しやすいカリウム、ビタミンCなどの栄養素をできるだけ多く残しつつ、おいしく調理することができます。
また、スープや煮込み料理にすると、スープに溶け出した栄養素も残さず食べることができます。
ブロッコリーの簡単人気レシピ
ブロッコリーの栄養を残さず食べることができる、簡単栄養レシピをご紹介します。
ブロッコリーとしめじのクリームスープ
ブロッコリーに含まれるビタミンK、きのこに含まれるビタミンDを一緒に食べると、牛乳のカルシウムを効率よく吸収できます。
ブロッコリーの栄養を残さず食べたいので、一緒に煮込むスープのレシピです。
材料
- ブロッコリー:1/2株
- しめじ:1/2袋
- 玉ねぎ:1/2個
- バター、薄力粉:各小さじ2
- 牛乳、水:各200ml
- 顆粒コンソメ:大さじ1
- 塩、コショウ:少々
作り方
1.ブロッコリーは食べやすい大きさに切る。しめじは石づきを切り落としてほぐし、玉ねぎは薄切りにする。
2.鍋にバターを入れて火にかけ、玉ねぎが透き通るまで炒める。しめじ、ブロッコリーも順に加えて炒める。
3.薄力粉を入れ、ダマにならないようによく炒める。次に牛乳、水を少しずつ加えてよく混ぜる。
4.コンソメ、塩、こしょうを加えて味をととのえ、とろみがついたら完成。
ブロッコリーとささみの中華和え
レンジで簡単に調理できます。ブロッコリーに含まれる鉄は、動物性たんぱく質のささみと一緒に食べることで、吸収率がアップします。
材料
- ブロッコリー:1/2株
- ささみ:2本
-
(A)酒:大さじ1
砂糖、塩:各小さじ1/2 -
(B)ごま油、いりごま:各小さじ2
醤油、砂糖、酢、鶏がらスープの素:各小さじ1/2
作り方
1.ブロッコリーは、食べやすい大きさに切り分け、600Wのレンジで2~3分加熱。
2.ささみは筋を取り除き、Aをもみ込んでおく。その後、600Wのレンジで2~3分加熱し、余熱で火をしっかり通す。
3.ささみの粗熱が取れたら、食べやすい大きさに裂く。
4.ブロッコリー、ささみ、Bをボウルに入れ、よく混ぜ、冷蔵庫で冷やして完成。
栄養価の高いブロッコリー
今回は、ブロッコリーが指定野菜になる理由、ブロッコリーの簡単レシピなどを詳しくお伝えしました。栄養価の高いブロッコリーを積極的に食事に取り入れていきたいですね。
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年:文部科学省 (mext.go.jp)
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書|厚生労働省 (mhlw.go.jp)