スーパーで買える安全ヒマラヤ岩塩

スーパーで買える岩塩 おすすめ5選【安全な岩塩の見分け方】

調味料
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岩塩とは、太古の海水が地殻変動で陸地に閉じ込められ、長い年月をかけて結晶化した塩のことです。世界の塩生産量の約2/3を占めます。海水を煮詰める海塩と違ってマイクロプラスチックの混入経路が少ない一方、産地によって重金属の含有量が大きく異なるため、選び方には注意が必要です。

世界の塩の約2/3は岩塩。日本で馴染みが薄いだけで、世界的には主流
2026年の世界規模の系統的レビューでは、重金属濃度は「海塩 > 岩塩」
ただしパキスタン産(ヒマラヤ岩塩の主産地)は水銀リスクの指摘あり
ピンクソルトは色が濃いほどミネラルも重金属も多い
「ミネラル補給」目的なら1日30gが必要。現実的な量ではない

筆者が岩塩を選ぶようになったのは、海洋汚染が気になり、海水を煮詰めてつくる海塩よりも太古の地層から掘り出す岩塩のほうが汚染されていないだろうと考えたことがきっかけでした。

ところが調べていくうちに、ヒマラヤ岩塩からもマイクロプラスチックが検出されているという報告があることを知りました。

地層に現代のプラスチックが埋まっているとは考えにくいため、採掘から包装までのどこかに混入経路があることになります。

この記事でわかること

岩塩の特徴と歴史

世界の塩の生産量は年間2億8000万トンと言われており、そのうちのおよそ2/3が岩塩です。

日本で塩と言えば「海塩」が馴染み深く、スーパーなどでも多くが海水から作られた塩が陳列されているので、意外かもしれませんが、世界的には塩と言えば「岩塩」を指すことが多いのです。

スーパーで買える天然塩 おすすめ5選【安全な塩の見分け方】

岩塩の主な産地

岩塩の主な産地
岩塩は世界中で採掘されており、主な生産地は北米・中南米に多く、有名な採掘地として、アメリカのユタ州にあるグレートソルトレイクや、南米ではボリビアのウユニ塩湖、ペルーのマラス田塩は、世界的な岩塩の産地として知られています。

ヨーロッパにおいても、ポーランドのヴィエリチカ岩塩坑やオーストリアのハルシュタット、アジアにも中国やインドに大規模な岩塩鉱山があり、それぞれ古くから岩塩の採掘が行われています。

南米コロンビアのシパキラにある「塩の大聖堂」は、約1億年前の地殻変動によって形成された岩塩層の巨大な洞窟で観光名所としても有名です。

また「ヒマラヤ岩塩」として有名なピンクソルトは、パキスタンやネパールで採掘されたものです。

日本に岩塩鉱山は存在しないので、国内で流通している岩塩は全て輸入品ということになりますね。

岩塩の成り立ち

岩塩は、主に地殻変動によって形成されます。

古代の海が地殻変動や大陸移動によって陸地に閉じ込められ、湖となった海水が蒸発する過程で塩分が濃縮・結晶化した結果、岩のように硬い塩の層が出来上がります。

この現象は現在でも米国のデスヴァレーや先述のウユニ塩湖でも見られます。

古いものでは5億年前に形成された岩塩もあり、世界の埋蔵量は数千億トンにのぼるとも言われています。

岩塩の起源と歴史

古代メソポタミアでは塩の生産が行われ、それがエジプトやギリシャ、ローマに伝播しました。

エジプトではミイラ作りに岩塩が使用されていたほか、食材の保存や祭事に欠かせない資源として利用されていました。

ヨーロッパでは、紀元前1000年頃から岩塩の採掘が行われており、特に、オーストリアのアルプス地方に位置するハルシュタットは、岩塩採掘の重要な遺跡として知られています。

この地域では、紀元前1100年から紀元前500年にかけて「ハルシュタット文化」と呼ばれる青銅器時代から鉄器時代の文化が栄えており、岩塩採掘の遺構や出土品が発見されています。

5世紀のローマ帝国では、塩の供給と価格を国家が管理するなど経済的にも重要視され、ローマ帝国の財政基盤を支える重要な要素の一つとなりました。また兵士の給与として「サラリウム」と呼ばれる塩を購入するための手当が支給されていました。

この「サラリウム」が英語の「salary(給料)」の語源になったとされています。

紀元前4世紀頃の中国でも国家が塩の生産と販売を独占し、財政の重要な収入源としていたことが分かっています。特に、漢王朝時代には塩と鉄の専売が行われ、国家財政を支える柱となりました。

このように岩塩は古代から、交易品として文明の交流を促し、また調味料としてだけでなく、塩税や専売制度を通して国家を支える重要な資源として政治・文化に深く関わってきました。

『ヨーロッパの塩事情 State of European Salt Industry』橋本壽夫 1991年
『モノの世界史』宮崎正勝 原書房 2002年
『塩の世界史』マーク・カーランスキー/山本光伸訳 中公文庫 2014年

海塩と岩塩の比較

海塩と岩塩の比較
海塩と岩塩は、どちらも主成分は塩化ナトリウムです。しかしその生成過程や採取方法はもちろん、含有するミネラル成分、風味などは大きく異なります。

海塩

海塩のほとんどは、海水から太陽光や風によって水分を蒸発させて塩分を結晶化する「天日製塩法」で作られます。

広大な塩田に海水を引いて乾燥させるこの製法は、土地が狭く雨の多い多湿の日本では難しく、古くから海水を煮詰めてから塩分のみを取り出す方法が取られました。

海に囲まれた日本では塩のおよそ9割がこの「イオン交換膜製塩法」で作られる精製塩で、イオン交換膜と電気エネルギーを利用して塩の主成分を濃縮し、その後真空式蒸発缶で煮詰めて製塩します。

海水中の多様なミネラル(カルシウム、マグネシウム、カリウムなど)が含まれますが、天然塩と精製塩でも含有ミネラルに差があります。

海塩は岩塩に比べ溶けやすいので、均一な塩味を付き、料理に馴染みやすいのが特徴です。

岩塩

岩塩の採掘には主に「乾式採鉱法」と「溶解採鉱法」の二つの方法があります。

乾式採鉱法は、地下の岩塩層から固体の岩塩を物理的に採掘する方法。

対して溶解採鉱法は、地下の岩塩層に水や海水を注入し、岩塩を溶解させて塩水を生成し、それを地上に汲み上げ結晶化させます。

溶解採鉱法は乾式採鉱法と比較して、設備投資や運用コストが低いとされており、また塩水を生成するため、精製工程で不純物を除去しやすい利点があります。

岩塩は重金属などの異物を含んでいるためため、食用として利用する場合、水に溶かして異物を取り除いてから再び結晶化する必要があります。

溶解採鉱法は採掘した岩塩に異物が少なくなるため、精製後の塩を食用に適用しやすい利点があります。

乾式採鉱法にて採取された塩は、そのまま非食用としてバスソルトやオブジェとして販売されることもありますが、食用として利用する場合は不純物が含まれている可能性があるため、一旦溶解して再結晶化する精製工程が必要です。

岩塩のメリット

岩塩のメリット
岩塩は他の塩と比べていくつかの優れた点があります。

不純物の少なさと純度の高さ

海塩は海水を原料とするため、近年問題となっているマイクロプラスチックや重金属などの混入リスクが指摘されています。

対して岩塩は、古来の地殻変動で形成された結晶を採掘するため、環境汚染の影響を受けていない場合が多いのです。

ミネラル含有量

海塩と比べると、ミネラルの含有量は少ないですが、岩塩にはカルシウム、カリウム、マグネシウムなどの他、鉄分などのミネラルが含有されています。

海塩が産地や製法によるミネラル成分のばらつきが大きいのに対し、岩塩は鉱床の特性でミネラルのバランスが一定に保たれています。

豊かな風味

岩塩はミネラルの含有量の差によって、地域で味わいが異なります。

ピンクソルトはまろやかで甘みがあり、ブラックソルトは硫黄の香りを持つ独特の風味を持ちます。

海塩は塩味が強く、尖った味わいになりがちですが、岩塩は料理の仕上げや調味料として、風味を引き立てるアクセントとして使いやすいのです。

保存性の高さ

海塩は吸湿性が高く、時間が経つと固まりやすいため、保存に注意が必要です。

対して岩塩は乾燥しているので湿気を吸収しにくく長期の保存に向いており、湿度の高い環境でも品質を保ちやすいという利点があります。

利用の多様性

岩塩は食用だけでなく、バスソルトやランプなど、さまざまな用途で活用されています。

バスソルトとして使用することで、皮膚からミネラルを吸収し、デトックスやリラックス効果が期待されます。

健康面でのメリット

岩塩はナトリウム量の比較的少ないものが多く、高血圧やむくみのリスクを抑えることができます。

岩塩はまろやかな塩味のため、少量でしっかりとした味付けができ、塩分の過剰摂取を予防できます。

岩塩のメリット 岩塩 海塩
不純物の少なさ 環境汚染の影響を受けにくい 汚染リスクあり
ミネラルの豊富さ 鉄分・カルシウム・カリウムなどを含む 産地によりばらつき
風味 まろやかで甘みがある 塩味が強い
保存性 湿気に強く長期保存可能 湿気を吸収しやすく固まりやすい
用途の多様性 食用・美容・健康グッズとして活用 主に食用
健康への影響 ナトリウム控えめで体に優しい ナトリウム量が多く過剰摂取に注意

海塩と岩塩のミネラル

一般的に、海塩は海水中の多様なミネラルを含みますが、精製する過程でミネラル成分はほとんど失われます。岩塩も産地や形成過程により様々なミネラルを含んでいます。

以下は、精製塩、天然塩、岩塩の主なミネラル含有量を比較したものです。

主な成分(100g) 精製塩 (塩事業センター 食卓塩) 海塩 (沖縄の海塩「ぬちまーす」) 岩塩 (ヒマラヤローズソルト)
塩化ナトリウム 99550mg 73340mg 39000mg
カルシウム 25mg 440mg 228mg
マグネシウム 22mg 3620mg 117mg
カリウム 91mg 1140mg –
鉄 – – 5.28mg

参考:塩事業センター

比較すると、精製塩はミネラルが少なく、天然塩には海水由来のミネラルが多く含まれます。

岩塩は天然塩よりはミネラル成分は少なめですが、鉄分など海塩に含まれないミネラルが多く見られます。

岩塩の種類

ピンクソルト

ピンクソルトは、主にパキスタンのカラコルム山脈周辺で採掘される岩塩です。

このピンク色は豊富な鉄分によるもので、そのほかにもカルシウムやカリウムなどのミネラルが多く含有されています。

まろやかな塩味と控えめな甘味が特徴で、肉料理やサラダなどに適しており、素材の味を引き立て、主に料理の仕上げに使います。

また料理だけではなく、バスソルトやインテリアなどにも利用されています。

バスソルトとしては、岩塩のミネラル成分が代謝を促進し、老廃物を排出させるデトックス効果、また血液の循環を促し、血圧を下げる効果やストレス解消・リラックス効果などが期待されています。

ブラックソルト

ブラックソルトは、インドやパキスタンで採掘される黒色の岩塩で、硫黄化合物を含むためゆで卵の黄身に似た独特の香りを持ちます。

ブラックソルトもピンクソルトと同様に、豊富なミネラル(ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄、マンガンなど)に加え、硫黄も含有されており、体内の解毒や代謝をサポートする効果が期待されています。

特にインド料理に使用され、チャットマサラなどのスパイスミックスに欠かせない調味料です。またスムージーなどの飲料にも風味付けとして利用できます。

その風味とミネラル成分は、料理に深みを与えるだけでなく、健康効果でも昨今注目されています。

クリスタルソルト

クリスタルソルトは、世界各地の岩塩鉱山から採掘されますが、特に有名な産地として、ドイツやパキスタンのヒマラヤ山脈周辺が挙げられます。

純度の高い塩化ナトリウムで構成されており、不純物が少なく、透明度が高い見た目が特徴です。

他の岩塩よりも長い時間をかけて結晶化されており、水に溶けやすく、(成分中のカリウムが少ないので)優しい塩味と香りが感じられます。

癖のないフラットな味わいの岩塩なので、刺身や焼き魚など、素材の風味を損なわずに塩味を加えることができます。

また、カリウム含有量の多いメロンやアボカドなどの果物類、ほうれん草などの野菜の味付けにおすすめです。

ブルーソルト

ブルーソルトは、イランのセムナーン州のエルグルズ山脈周辺の塩田で採取できる、ブルーサファイア色の岩塩です。

その特徴的な色合いはカリウム鉱物であるシルビナイトという岩塩とカリ岩塩の混合物から生まれ、地球上で最も古い塩の一つです。

この塩は毎年わずか数トンしか採掘されず、スパイシーで独特の風味が特徴です。

ブルーソルトには、他の岩塩と同様にナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。

このシャープな風味は、塩豚やハム、ローストビーフなどの下味付けや、癖のない肉料理、ハーブやレモンを使用した洋風料理などと相性が良いとされています。

アンデスソルト

アンデスソルトは、南米の国々にまたがる標高4000メートルもの山々からなるアンデス山脈や、ボリビア南西にある世界最大の塩原「ウユニ塩湖」で採取されます。

鉄分やカルシウムを多く含むためローズピンクの色を呈しています。

味はまろやかでささやかな甘みがあるので、加熱する前の肉や魚はもちろんどのような料理にも合わせやすく、万能な岩塩といえます。

通常の食塩と比べてナトリウムの含有量が少ないため、少量でも塩味を感じることができ、減塩したい人にもおすすめです。

モンゴルソルト

モンゴルソルトは、モンゴル北西部のウヴス・ヌール盆地の鉱山から採掘される岩塩。

色はオフホワイトで、桃白色や灰色のような風合いを持つものもあります。

マグネシウムが含まないので、苦味が少なくマイルドな味わいが特徴です。

カルパッチョやサラダなどあっさりした料理と相性が良く、モンゴルでは料理のほかにも、うがい薬や湿布、さらに胃薬や虫歯予防など生活の一部として使われています。

ヒマラヤ岩塩は安全?岩塩の危険性

岩塩は一般的に純度が高く、環境汚染の影響を受けにくいとされていますが、鉱山に含まれる重金属の混入リスクはゼロではありません。

一部の業者は、重金属検査や成分分析を実施し、安全性を確認しているものの、輸入されるすべての製品が検査を受けているわけでく、品質基準が担保された製品を選ぶことが重要です。

汚染と異物混入リスク

先述した通り、岩塩の採掘において環境汚染のリスクは低いとされています。

ただし、マイクロプラスチックの汚染は、世界中の水生、大気などの環境全てで見られており、海塩への汚染だけでなく岩塩にもその影響が懸念されています。

トルコ市場から16ブランドの食卓塩を入手し、顕微鏡検査とラマン分光法でMP含有量を測定した。結果によると、MP粒子含有量は、海塩では16~84個/kg、湖塩では8~102個/kg、岩塩では9~16個/kgであった。

また、岩塩は地質環境から採掘されるため、周囲の鉱物や土壌に含まれる重金属(鉛、ヒ素、カドミウムなど)が混入する可能性があるため、信頼できる業者を選定しましょう。

放射性物質のリスク

また岩塩層は放射性廃棄物の地層処分場として利用されることがあるため、適切な採掘環境の管理と監視の重要性が求められます。

例えば、ドイツのニーダーザクセン州にあるアッセII鉱山では、1967年から1978年にかけて、低・中レベルの放射性廃棄物の処分場として使用され、約12万6000バレルの廃棄物が埋設されました。

しかし、後年になって地下水の浸入や構造上の問題が発覚し、廃棄物の安全性に懸念が生じました。これによってドイツ政府は廃棄物の回収と鉱山の閉鎖を決定し、現在もその作業が進行中です。

米国でも、ニューメキシコ州にある廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)が、岩塩層を利用した放射性廃棄物の地層処分施設として知られています。WIPPは、1999年から運用を開始し、主に核兵器関連の長寿命・低発熱性の放射性廃棄物を地下約655メートルの岩塩層内に処分しています。

WIPPの選定理由として、岩塩層の自己修復性や地下水の流動性が低いことが挙げられますが、2014年には放射性物質の漏洩事故が発生し、一時的に操業が停止されました。

このように岩塩層における放射性廃棄物の処理では、施設からの漏洩や環境汚染が危惧されるため、信頼できる製造元を確認することが重要です。

岩塩ならマイクロプラスチックを避けられるのか

岩塩は太古の地層から採掘されるため、現代の海洋プラスチック汚染とは無縁のようにも思えますが、この点については世界6大陸16か国で製造された食用塩39銘柄を分析した研究が2018年に発表されています。

結果は、塩の種類によって明確に分かれました。

塩の種類 マイクロプラスチック含有量(1kg当たり)
海塩(28銘柄) 0〜1,674個 ※外れ値1件を除く
湖塩 28〜462個
岩塩 0〜148個

3種類のなかで最も少なかったのが岩塩であり、海洋汚染を避けるために岩塩を選ぶという判断は、この数値で見るかぎり方向としては誤っていないことになります。

ただし検出量はゼロではなく、太古の地層に現代のプラスチックが含まれていたとは考えにくいことから、採掘・粉砕・包装といった製造工程での混入が想定されます。

つまり岩塩を選んでも汚染と無縁になるわけではなく、相対的に少ないというにとどまります。

なお同じ研究では、海塩のマイクロプラスチック量が周辺海域の汚染度と有意に相関することも示されており、海塩は海洋汚染をそのまま反映する指標になっているとされています。

参考:
・Global Pattern of Microplastics (MPs) in Commercial Food-Grade Salts: Sea Salt as an Indicator of Seawater MP Pollution – Environ Sci Technol (2018)

【2026年最新】世界の研究が示す岩塩と海塩の重金属

塩に含まれる有害元素については、2026年に世界規模の系統的レビューとメタ分析が発表されています。

2000年から2024年までに各国で行われた測定を統合したもので、塩全体の平均濃度はニッケル974µg/kg、ヒ素297µg/kg、水銀123µg/kg、鉛81.5µg/kg、カドミウム75.9µg/kgと報告されました。

この研究では、有害元素の濃度は岩塩より海塩のほうが高いと結論づけられています。

海水を原料とする以上、海洋汚染の進行が数値に反映されることは避けがたいと考えられます。

一方で、産地別に見ると評価は単純ではありません。

同研究では、パキスタン産の塩から水銀7,650µg/kgが検出され、成人・小児ともに非発がん性の健康リスクが示されたと報告されています。

パキスタンはヒマラヤ岩塩(ピンクソルト)の主要な産地であり、岩塩であれば安全と一括りにできるわけではありません。

参考:
・The Concentration of Potentially Toxic Elements (PTEs) in Salt: A Global Systematic Review, Meta-Analysis, and Probabilistic Human Risk Assessment – J Food Prot (2026)

ピンクソルトは「色が濃いほど良い」わけではない

オーストラリアで市販されているピンクソルト31検体を分析した研究があります。

この研究では、フレーク状のもの、ヒマラヤ産のもの、色の濃いものほどミネラルの含有量が高いことが示されました。

ただし同時に、色が濃いものほど非栄養性の重金属も多く含まれるとも報告されています。ミネラルと重金属はいずれも同じ地層に由来するためです。

また、ピンクソルトから栄養として意味のある量のミネラルを摂取するには1日30g(小さじ約6杯)が必要になるとされています。

これは食塩摂取量の目安である1日5g未満を大きく超える量であり、ナトリウムの過剰摂取による影響のほうが大きくなります。

なお同研究では、31検体のうちペルー産の1検体から、オーストラリア・ニュージーランドの基準値を超える鉛(2mg/kg超)が検出されています。

参考:
・An Analysis of the Mineral Composition of Pink Salt Available in Australia – Foods (2020)

筆者が岩塩の安全性を意識するようになったきっかけも重金属ではなくマイクロプラスチックでしたが、海洋汚染を避けるために選んだ岩塩にも同じ問題があると知った時はショックでしたが、前述のとおり数値を比較すれば量には明確な差があるようです。

安全な岩塩の選び方

前項では岩塩の種類や採掘環境におけるリスクを見てきました。

ここからは安全で信頼性の高い岩塩の選び方と選定基準を解説します。

まずは食用の岩塩を選ぶ

岩塩には「食用」と「非食用」があり、それぞれ成分や用途が異なります。

食用岩塩は、料理や調味料として人が直接摂取できる岩塩で、料理や食品加工に使用されます。

対して非食用は、食品としての使用は制限されており、工業用、バスソルトや、インテリアなどに使用される岩塩です。

非食用の岩塩は、精製が不十分なので有害な重金属や消化器系に影響を与える異物が混入している可能性があります。

また「ヒマラヤ岩塩」の中でも非食用のバスソルトが販売されており、料理・調理用途のヒマラヤ岩塩を購入する際は注意が必要です。

食用岩塩 非食用岩塩
成分 不純物が少なく、精製または検査済み。食用塩の品質に関する国際規格(Codex)では、塩化ナトリウムの純度が97%以上と定められている。 不純物が多く、精製されていない場合が多い。工業用や融雪剤として使用される岩塩は純度が低く、不純物を含むことがある。
重金属・有害物質管理 厳格な基準で検査・管理されている。食用塩は、各国の食品安全基準に従い、重金属や有害物質の含有量が規制されている。 検査されていない、もしくは基準が緩い。非食用の岩塩は、食品安全基準の対象外であり、重金属や有害物質の含有量が管理されていない場合がある。
放射性物質の有無 放射性物質が含まれないよう検査されている。食用塩は、放射性物質の検査が行われ、安全性が確認されている。 放射性物質が微量に含まれる可能性がある。非食用の岩塩は、放射性物質の検査が行われておらず、微量の放射性物質を含む可能性がある。
添加物 不純物除去が行われるが、ミネラル分は保持。食用岩塩は精製過程で不純物が除去され、固結防止剤などの添加物が使用されることもある。 ミネラル分がそのまま、または未検査の状態。非食用岩塩は、精製や添加物の添加が行われていないことが多い。
粒子サイズ 調理や食用に適した粒子サイズに加工。食用岩塩は、ミルで挽いて使用するタイプや、細かく砕かれたものが一般的。 粗いまま、または粒子が不均一。非食用岩塩は、粒子サイズの管理が行われておらず、粗い粒子のままであることが多い。
価格 非食用に比べて高価。食用岩塩は、精製や検査のコストが加わるため、非食用岩塩よりも高価になる傾向がある。 比較的安価で大量に流通している。非食用岩塩は、工業用途や融雪剤として大量生産されるため、価格が安価。
用途 調理、食品加工、漬物など。食用岩塩は、料理や食品加工に使用される。 バスソルト、融雪剤、工業用途、インテリアなど。非食用岩塩は、食用以外の目的で使用される。

信頼できる生産国と認証マーク

安全性の高いヒマラヤ岩塩を選ぶ際は、認証ラベルや第三者機関の検査によって品質保証されていることを確認しましょう。

主な岩塩の認証ラベルには以下の種類があります。

BRC認証

BRC認証は英国小売業協会(British Retail Consortium)が制定した食品安全管理の国際規格で、リスク管理、汚染防止、トレーサビリティ(追跡可能性)を主眼とし、食品事故のリスク低減と消費者の信頼向上を目的としています。

英国だけでなく、欧州諸国やアジアなどの多くの事業所が認証を取得しており、厳格な審査と品質が求められることから、輸出入時の信頼性を高めることができます。

BRC認証は食品の加工や包装を行う際に、主に以下の条件を求められます。

HACCP(危害分析重要管理点)の導入:製品の安全性を確保するため、体系的な危害分析と重要管理点の設定
品質管理システムの構築:品質管理システムを整備し、製品の一貫した品質と安全性を維持する
製品・工程・従業員の内部監査: 定期的な内部監査を実施し、製品や製造工程、従業員の衛生管理を評価・改善する

*GFSIとは、世界の消費財業界メーカー・小売企業、400社以上によって組織されるCGF(The Consumer Goods Forum)によって運営される非営利団体です。消費者に安全な食品を届けるために、検査機関・行政などとも協力して活動しています。

ISO22000

ISO22000はジュネーブの国際標準化機構(ISO)が策定した食品の安全に関するマネジメントシステム規格です。

食品製造業や関連業界が安全な食品を消費者に提供するための枠組みで、食品のリスク管理と安全性向上を目的としています。

ISO22000の取得は、食品安全に対する企業の取り組みを国際的に証明するもので、食品事故のリスクを低減させ、消費者からの信頼性を向上させます。

JFS規格

スーパーの棚にある岩塩8種類を比べた

スーパーで扱われている岩塩は、ミル付きボトルのピンクソルトやヒマラヤ岩塩が中心で、通販専門店に比べると種類は限られます。

一方で、食用グレードで包装され、賞味期限と原産国が明記された製品を実際に手に取って選べる点は利点といえます。

棚にあったのは8種類

埼玉県比企郡小川町のヤオコー小川ショッピングセンター店では、塩売り場に8種類の岩塩が並んでいました。

スーパーで買える岩塩の売り場と価格表示(ヤオコー小川ショッピングセンター店)

商品名 内容量 価格 原産国
シェフスパイス ピンク岩塩 詰替用 50g 149円 パキスタン
シェフスパイス ピンク岩塩 セラミックミル付 100g 322円 パキスタン
ヒマラヤピンク岩塩 シェーカー 100g 192円 パキスタン
ヒマラヤのピンク岩塩(トマトコーポレーション) 300g 257円 パキスタン
LAHORI ホワイトソルト パウダー 300g 322円 パキスタン
LAHORI ホワイトソルト ミル用 300g 322円 パキスタン
アルペンザルツ 250g/500g 430円/842円 ドイツ
ロレーヌ岩塩 250g 214円 フランス

2026年9月・ヤオコー小川ショッピングセンター店。価格は税込

8種類のうち6種類がパキスタン産で、前述のとおりパキスタンは2026年の系統的レビューにおいて水銀のリスクが指摘された産地にあたります。

栄養成分表示を並べて分かったこと

8種類の裏面に記載された栄養成分表示を比べると、同じ岩塩でも組成には大きな差がありました。

商品名 食塩相当量 カルシウム マグネシウム カリウム
ヒマラヤのピンク岩塩 99.0g 140mg 100mg 210mg
LAHORI ホワイトソルト 99.0g 245mg 5.45mg 86.4mg
アルペンザルツ 98.0g 400mg 記載あり(数値は判読できず) 記載なし
ロレーヌ岩塩 99.42g 9.7mg 2.9mg 4.4mg

いずれも100g当たり。パッケージの栄養成分表示より(2026年9月時点)

特に差が大きいのがカルシウムで、ロレーヌ岩塩は9.7mg、ヒマラヤのピンク岩塩は140mgと14倍の開きがあり、この差は製法によるものです。

ロレーヌ岩塩は地層に水を注入して塩を溶かし、その塩水を再び煮詰めてつくられるため(製造方法の表示は「溶解、立釜、乾燥」)、この工程でミネラルはほとんど残りません。

一方、採掘してそのまま粉砕するタイプ(表示は「採掘、洗浄、粉砕」)には、地層由来のミネラルが残ります。

つまり岩塩であればミネラルが豊富というわけではなく、製法によって決まるということになります。

アルペンザルツのカルシウム400mgは添加物だった

この表だけを見ると、アルペンザルツが最もミネラルを多く含んでいるように見えます。

しかし裏面の原材料名には、次のように記載されていました。

原材料名:岩塩/炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム

アルペンザルツ 250g パッケージ裏面表示より

食品表示では、スラッシュ(/)より後ろに書かれたものが添加物にあたるため、カルシウム400mgは炭酸カルシウムとして添加されたものということになります。

塩に炭酸カルシウムを加えること自体は珍しくなく安全性が問題になるものでもありませんが、地層に由来するミネラルとは区別して考える必要があります。

結局、ミネラルは塩から摂れるのか

今回調べたなかでミネラルが最も多かったヒマラヤのピンク岩塩は、カルシウムが100g当たり140mgでした。

1日5gを使用した場合に摂取できるカルシウムは7mgとなり、成人の推奨量である650〜800mg程度に対して1%に届きません。

参考までに、同じ売り場にあったヤオコーの「4種のお魚 骨せんべい」は1袋65gでカルシウム2275mgと表示されており、先のオーストラリアの研究が栄養として意味のある量には1日30gが必要としていたのは、こうした差によるものです。

ミネラルの摂取を目的とするのであれば、塩ではなく食品から摂るほうが現実的といえます。

パッケージのどこを見るか

スーパーの棚にあったヒマラヤ岩塩のセラミックミル付きボトル

同じヒマラヤ岩塩でも、粒の大きさや色には違いがあります。ミル用の粗い粒、シェーカーに入った細かいパウダー、詰め替え用の袋と形状はさまざまですが、原産国はいずれもパキスタンでした。

パッケージの表側で目立つのは「ヒマラヤ」「天然」といった表現ですが、選ぶ際に必要な情報は裏面に記載されています。

具体的には原産国名、製造方法、そして原材料名のスラッシュの有無の3点になります。

海塩のほうは、こちらでまとめています。

スーパーで買える天然塩 おすすめ5選【安全な塩の見分け方】

安全なヒマラヤ岩塩おすすめ5選

梅研本舗 ヒマラヤ岩塩

原産国 パキスタン
認証 HACCP管理 / BRC認証 / ハラール認証
その他 日本食品分析センターに検査依頼済み(重金属類 / ヒ素:検出せず、カドミウム:検出せず)、パキスタン政府科学技術省にて米国規格の複数の試験をパス。
塩化ナトリウム 98.03%
カルシウム 120mg
マグネシウム 130mg
カリウム 140mg

シェフズチョイス ヒマラヤ岩塩

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シェフズチョイス
細かめタイプ
原産国 パキスタン
認証 HACCP管理 / BRC認証 / Kosher認証
特徴 シェフズチョイスはオーストラリアのオーガニックブランド。英国小売協会が定める品質衛生規格に準じており、最深部から採掘される稀少なグレードで、さらに異物混入や品質劣化を防ぐためオーストラリア本社で加工しています。
塩化ナトリウム 97%
カルシウム 185mg
マグネシウム 212mg
カリウム 181mg
鉄 7mg

ヒマラヤ岩塩専門店

原産国 パキスタン
認証 ISO9001 / ISO22000 / HACCP管理 / BRC認証 / ハラール認証 / Kosher認証
特徴 国内にて成分検査・重金属検査・細菌検査実施。フェロシアンイオン、亜鉛、銅、重金属、カドミウム、ヒ素、一般細菌等、不検出。
塩化ナトリウム 94%
カルシウム 184mg
マグネシウム 210mg
カリウム 180mg
鉄 7.14mg
マンガン 0.18mg

クレールソルト ブロック

原産国 パキスタン
認証 ISO9001 / ISO22000 / HACCP管理 / BRC認証 / ハラール認証
特徴 ヒマラヤ岩塩全体の生産量のうち、わずか3%しか産出されないクリスタルソルト。また全ての粒を専用の装置でスキャニングし、異物を自動除去しており、他者と比べ高い異物除去率。

Pure Indian Foods ブラックソルト

created by Rinker
Pure Indian Foods
パウダータイプ
原産国 アメリカ
特徴 インドのカラナマックの原料は、バングラデシュ、インド、ネパール、パキスタンの鉱山で採れる天然岩塩で微量の硫黄化合物が含まれており、ゆで卵のような独特の旨味を持っています。米国の正規代理店から直接調達され、iHerbで販売されており、温度管理されたGMP(適正製造基準)認定の物流センターで保管されています。
塩化ナトリウム 約80%
カルシウム 350mg
マグネシウム 100mg
カリウム 3800mg
鉄 50mg
硫黄 280mg

参照:
Signature of the Himalayan salt

一日の塩分量自動計算【料理ジャンル別・コンビニ別】

まとめ|岩塩は「産地」と「用途」で選ぶ

岩塩を選ぶうえで重要になるのは、ミネラルの多さではなく産地と食用グレードの確認です。

2026年の系統的レビューでは有害元素は海塩のほうが多い傾向が示されていますが、パキスタン産のように特定の産地で水銀のリスクが指摘される例もあります。

またミネラルの補給を目的とすると1日30gという非現実的な量が必要になるため、岩塩は風味を選ぶための調味料と位置づけるのが妥当といえます。

筆者の場合は、魚のムニエルや肉を焼くときに岩塩、パスタの茹で湯には海塩と使い分けています。

粒が粗く素材の表面で存在感の出る岩塩は焼き物に向き、大量に溶かして使う場面では価格の見合う海塩を選ぶという分け方です。

目的別のおすすめ
まず試したい・手軽に買いたい スーパーのミル付きピンクソルト
肉料理の風味を重視したい ブラックソルト・アンデスソルト
産地と検査体制を重視したい BRC・ISO22000認証のある製品
ミネラル補給が目的 岩塩では目的を達成できない。食事全体の見直しを

精製塩と天然塩の違いは、こちら。

「精製塩」と「天然塩」の違いと見分け方

よくある質問(FAQ)

Q1. 岩塩と海塩はどちらが体に良いですか?

どちらが優れているとは言えません。

2026年の世界規模の系統的レビューでは有害元素の濃度は海塩のほうが高い傾向が示されていますが、岩塩でも産地によって水銀や鉛が問題になる例があります。

ミネラル量の差は摂取量から見て健康への影響を語れる水準ではないため、風味と用途で選ぶのが現実的です。

Q2. ヒマラヤ岩塩のピンク色は何ですか?濃いほど良いのですか?

ピンク色は主に酸化鉄に由来します。

色が濃いほどミネラルは多くなりますが、オーストラリアの研究では色が濃いほど重金属も多く含まれることが示されています。

色の濃さは品質の良し悪しを示す指標ではありません。

Q3. スーパーの岩塩と専門店の岩塩は何が違いますか?

スーパーの製品はミル付きボトルの食用グレードが中心で、原産国と賞味期限が明記されており、手に取って選べます。

専門店はブロック塩や産地指定など種類が豊富ですが、食用かどうかの表記を自分で確認する必要があります。

この記事を書いた人:Marei Suyama
株式会社good umbrella・有限会社ボルボックス代表。有機農法の先進地として知られる埼玉県小川町に拠点を置き、持続可能な社会と人々の健康に役立つ情報を発信しています。有機食品・フェアトレード製品・健康生活用品、オーガニックコラムなど。
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