春になると、美しい黄色い花を咲かせるアブラナ科の野菜、菜の花。その小さな花たちが見事に咲き誇る姿はいつみても良いですね。
でも、菜の花はただ美しいだけではありません。古くから健康に良いとされ、最近では美容にも効果があると言われています。
この記事では、菜の花の起源や歴史、栄養素や健康効果、選び方や注意点、そしておすすめレシピを紹介します。
食卓に彩りを加えたい方、健康や美容に興味がある方、ぜひ読んでみてください。
この記事でわかること
菜の花の起源と歴史
菜の花は、アブラナ科の植物であり、中国がその起源とされています。古代中国では、菜の花は食用としてだけでなく、薬用としても利用されていました。日本には、中国から奈良時代に渡来したとされ、平安時代には庶民の食卓にも登場し始めました。当時は、主に野菜として栽培され、葉っぱや茎も一緒に食べられていました。
江戸時代の菜の花
江戸時代に入ると、栄養価が高いことから貴族や武士たちの健康食品として広まりました。この頃から、菜の花は単独で栽培され、花穂だけが食べられるようになったとか。
また、当時は「花菜(はなな)」と呼ばれ、江戸時代には、日本全国で栽培されています。地域によっては、花が咲く前に摘んで、蕾を漬けた「菜の花漬け」としても楽しまれていたそうです。
現在の菜の花
現在では、世界的にも普及しており、特に欧米では「ブロッコリーラペ」(Broccoli Rabe)や「キャベツラペ」(Cabbage Rabe)として販売されています。
菜の花の栄養素と優れた効能
栄養素と効能
菜の花には、ビタミンC、ビタミンK、カルシウム、鉄分、マグネシウム、カリウム、リンなどのミネラルが含まれています。また、抗酸化作用があるポリフェノールや、がん予防に効果的な硫化アリル、ルチン、フラボノイド、カロテノイドなどのフィトケミカルも含まれます。
ビタミンC
菜の花に含まれるビタミンCは、コラーゲンの合成を促進し、免疫力を高める効果があります。また、ビタミンCは鉄分の吸収を助けるため、貧血の改善にも役立ちます。
ビタミンK
菜の花に含まれるビタミンKは、骨粗鬆症の予防に効果的であり、カルシウムの吸収を促進する作用もあります。
硫化アリル
菜の花に含まれる硫化アリルは、がん細胞の増殖を抑制する効果があり、また、炎症を抑える効果もあるとされています。
フィトケミカル
菜の花に含まれるフィトケミカルには、ルチン、フラボノイド、カロテノイドなどがあります。これらの成分には、抗酸化作用があり、生活習慣病やがんの予防に役立つとされています。
これらの栄養素が持つ効能は、健康や美容に対して様々なメリットがあります。
例えば、菜の花に含まれるビタミンCは、コラーゲンの生成を促進することで美肌効果をもたらし、ビタミンKは骨粗鬆症の予防に効果的であることが知られています。
また、硫化アリルはがん細胞の増殖を抑制し、炎症を抑える効果があります。これらの栄養素や効能は、近年注目されている機能性食品や健康食品としても期待されています。
アブラナ科植物の香味形成と芥子油
Zhang, Y., Li, S., Gan, R. Y., Zhou, T., Xu, D. P., & Li, H. B. (2015). Impacts of gut bacteria on human health and diseases. International journal of molecular sciences, 16(4), 7493-7519.
菜の花の注意点と副作用
菜の花は一般的に安全で、健康に良いとされていますが、特定の人々には注意が必要です。
アブラナ科アレルギーを持っている人々も稀におられるので気をつけましょう。
これは、菜の花がアブラナ科の植物であるためで、アブラナ科にアレルギーがある人は、菜の花を食べた場合、口の周りのかゆみ、喉の腫れ、吐き気、下痢などの症状を引き起こすことがあります。
また、菜の花はカルシウム、鉄分、ビタミンC、ビタミンKなどの栄養素が豊富に含まれていますが、ビタミンKの含有量が多いため、血液が固まりやすくなるため、血液をサラサラに保つために抗凝固剤を服用している人や、手術前の人は、医師の診断を仰ぎましょう。
さらに、菜の花にはオキシレゾルフィンという天然化合物が含まれています。これは、発がん性物質であるN-ニトロソジメチルアミンを生成する可能性があると報告されています。ただし、これまでの研究では、この物質が人体にどの程度影響するかは不明であり、摂取量が少量であれば安全であるとされています。
アブラナ属花粉症
菜の花の安全な選び方
菜の花を選ぶ際のポイントは、新鮮さと品質です。新鮮で、若くて柔らかいものを選びましょう。
茎が丈夫で、花びらがキュッと閉じているものが良いですね。
また、農薬や化学肥料を使っていない、有機栽培された菜の花を選ぶことも重要です。
有機栽培された菜の花は、農薬や化学肥料の使用が制限されているため、安全性が高いと言われています。
しかしながら、有機栽培された菜の花は、一般的に市場で入手しにくいですよね。その場合は、非有機栽培の菜の花を購入する際には、栽培に使用された農薬や化学肥料の残留物が問題ないかどうかを確認することが肝要です。
さらに、菜の花を選ぶ際には、風味や食感の好みに合わせて、また用途を考えて選びましょう。例えば、茎が太く、固めのものは煮物や天ぷら、スープに向いています。また、茎が細く、柔らかめのものはサラダや鍋に最適です。
市場で購入する場合は、袋詰めされた菜の花よりも、むき出しで販売されているものの方が新鮮です。
国内産野菜・果実類中の残留農薬実態調査
平成29年度 食品中の残留農薬等検査結果について(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13040.html)
この報告書によると、平成29年度において、菜の花については、農薬等の残留物が検出されなかったとされています。ただし、農薬等の残留物に関する規制値を満たしているかどうかについては、生産者によって異なるため、消費者が購入する際には、生産者からの情報提供や、農産物の検査情報などを確認することが望ましいとされています。
食品安全委員会「菜の花におけるセシウム等放射性核種の検査結果について」(https://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kiji00000000009062&fileId=1797)
この報告書によると、2011年の福島原発事故以降、菜の花については、セシウム等の放射性物質についても定期的に検査を行っており、基準値を下回っていることが確認されています。
農林水産省「住宅地等における農薬使用について」(https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tekisei/jutakuti/20130426tuchi.html)
菜の花を含む野菜の家庭菜園において、安全な農薬の使い方について解説されています。具体的には、農薬の使用前には、ラベルや説明書をよく読み、必ず使用方法に従うことが重要であるとされています。また、収穫後には、農薬の使用を中止してから一定期間が経過してから収穫することが望ましいとされています。
まとめ
菜の花は、栄養価が高く健康や美容に効果的な効能を持つ野菜です。中国を起源に、古くから日本でも愛されてきました。
ビタミンCやK、カルシウム、鉄分、ポリフェノール、硫化アリルなどの栄養素が豊富に含まれているため、美肌効果や骨粗鬆症の予防、がん予防にも効果があることがわかりました。
また、注意点として、菜の花に含まれるアレルギー物質によるアレルギー反応や、一部の人には胃腸のトラブルを引き起こす場合があることも認識しておきましょう。
しかし、適切な調理や摂取方法を守ることで、菜の花の効能を最大限に引き出すことができます。
最後に、おいしい菜の花レシピをいくつか紹介します!是非参考にしてみてください。
菜の花を使ったレシピ紹介
菜の花の胡麻和え
材料
・菜の花 1/2束
・白ごま 大さじ1
・しょうゆ 大さじ1
・酢 小さじ1/2
・砂糖 小さじ1/2
作り方
菜の花を適当な大きさに切り、茹でて水にとります。
白ごまをフライパンで軽く炒ります。
炒った白ごまをすり鉢で潰します。
しょうゆ、酢、砂糖を加え、混ぜ合わせます。
茹でた菜の花を冷水でしめ、水気を切って3に加えます。
全体によく混ぜ合わせて完成です。
菜の花とツナのパスタ
材料
・パスタ 150g
・菜の花 1/2束
・ツナ缶 1/2缶
・ニンニク 1かけ
・オリーブオイル 大さじ2
・パルメザンチーズ 適量
・塩、こしょう 適量
作り方
パスタを袋の表示通りに茹でます。
菜の花を適当な大きさに切り、塩茹でして水にとります。
フライパンにオリーブオイルとニンニクを加えて火にかけ、香りを出します。
ツナ缶を加え、全体に味が馴染むように炒めます。
茹でたパスタと茹でた菜の花を加え、全体を炒めます。
塩、こしょうで味を調え、仕上げにパルメザンチーズを加えて完成です。