ソイミートは、大豆から作られたいわゆる「お肉のような」加工食品。
肉食に代わるタンパク源として、ヴィーガンやベジタリアンの方々に重宝される一方、最近では健康志向のスーパーマーケットでも見かけたりしますよね。
ソイミートは動物のお肉よりも低カロリーである以上に、肉に多く含まれ多くの生活習慣病の一因とされる「飽和脂肪酸」や「コレステロール」を有していないことは大きなメリットでしょう。
また大豆自体、良質なタンパク質に加えミネラルや食物繊維など健康維持に欠かせない栄養素を多分に含んでいるため、普段の食生活でも積極的に取り入れたいところです。
しかしソイミートはまだまだ売っているお店も多いとは言えず、手に入りにくいのも確か。
というわけで、市販の乾燥ソイミートを使わず、高野豆腐から「大豆のお肉」を作るヴィーガンレシピにトライしたいと思います。実に簡単!
動画でレシピを公開
目次
高野豆腐の栄養価と効能
高野豆腐の発祥
高野豆腐の製造は、フワフワの食感からは想像できませんが、実は木綿豆腐を凍結させた後、低温で熟成し、さらに水分を抜いて乾燥させて作ります。
高野豆腐は、安土桃山時代に和歌山県の高野山で、真言宗の僧侶が製法を生み出し、精進料理のひとつとして全国に広まったとされています。
元来、高野豆腐は、屋外の外気で豆腐を凍らせて作るため、主に寒冷地域で生産されてきました。東北地方では「凍り豆腐」とも呼ばれ、古くから日持ちのする保存食として重宝されていたそうです。
高野豆腐の栄養価
水分を飛ばすことで大豆の栄養成分が濃縮され、良質で豊富なタンパク質を多く含み、さらに健康維持に欠かせない必須脂肪酸を効率よく摂取できる高野豆腐。まずはその栄養成分をご紹介します。
※高野豆腐(乾燥)100gの主な栄養素です。
栄養素名 | 高野豆腐(乾燥)100g当たりの栄養素量 |
エネルギー | 496kcal |
たんぱく質 | 50.5g |
脂質 | 34.1g |
食物繊維 | 2.5g |
炭水化物 | 4.3g |
ナトリウム | 440mg |
カルシウム | 630mg |
リン | 820mg |
鉄 | 7.5mg |
亜鉛 | 5.2mg |
ビタミンE | 1.9mg |
ビタミンK | 60μg |
ビタミンB1 | 0.02mg |
ビタミンB2 | 0.02mg |
ナイアシン | 13.0mg |
ビオチン | 21.0μg |
※参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
高野豆腐は大豆で出来ていますから、大豆イソフラボンや大豆サポニン、レシチンといった大豆の優れた栄養成分が多く含まれていますが、特筆すべきはその良質なタンパク質。
高野豆腐に含まれる成分のおよそ50パーセントがタンパク質で、木綿豆腐と比べるとタンパク質成分量はおよそ7倍(木綿豆腐は100g当たり7g)です。納豆と比べても3倍以上のタンパク質が含まれており、いかに高野豆腐のタンパク質含有量が多いかわかります。
また、高野豆腐は他の大豆食品と比べてその製造方法によってレジスタントタンパク質の含有量率も高く、整腸効果をはじめ、コレステロール低下作用や抗腫瘍作用も期待できます。
そして、成分のおよそ30パーセントは脂質で、さらにそのうちの8割は不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸は人間の体内で作りだすことが出来ないため、食事から摂る必要があり必須脂肪酸と呼ばれています。
レジスタントタンパクとは?
レジスタントタンパク質(レジスタントプロテイン)は、消化性の低く、人の体内で吸収されにくいタンパク質の総称です。
消化されにくいというとネガティブな印象を持つかもしれませんが、食物繊維等は体内で分解されず吸収されにくいことで、消化器官において健康効果を発揮します。
食物繊維の摂取量に比例して、血管系のトラブルや、心疾患、高血圧由来の疾患、そして糖尿病に罹りにくいことは多くの研究で明らかにされており、食物繊維同様に消化性の低いレジスタントプロテインが健康維持に効果的であることも、いくつかの研究によりわかってきました。(※1,2,3)
そのようににして、消化性の低いタンパク質が、反って健康維持に役立つという概念が広がり、近年研究が進んでいます。
※1 「食物センイ・ルミナコイドの頃からレジスタントプロテイン研究へ」著:桐山修八
※2 「健康と美容に貢献する「酒粕」の成分」著:渡辺敏郎
※3 「レジスタントプロテインとしてのそばタンパク質とセリシンの生体調節機能」著:加藤範久、栢下淳、佐々木真宏
ソイミート・ボロネーゼの材料
高野豆腐 3枚
コンソメ 1個
お湯 200cc
<ボロネーゼ>
ニンニク 1カケ
生姜 1カケ
玉ねぎ 半分
ナス 1本
ピュアオリーブオイル 大さじ1
エクストラバージンオイル 大さじ1
乾燥唐辛子
塩 小さじ1
水 適量
トマト缶 100g
ウスターソース 小さじ1
オレガノ 少々
ナツメグ 少々
スイートバジル 適量
パスタ 160g
ソイミート・ボロネーゼの作り方
①ソイミートを作る
まずは高野豆腐からソイミートを作ります。
ボウルに高野豆腐を入れ、コンソメを溶かしたお湯を注ぎ15分ほど漬けておきます。
高野豆腐が芯まで水分を吸収し、柔らかくなったらお好みの大きさに切ります。(さいの目切り)
②ボロネーゼソースを作る
高野豆腐が柔らかくなるまで、ボロネーゼソースの準備をしましょう。
ニンニク、生姜は細かいみじん切りにしておきます。(同じ大きさになるようにカットします。)
玉ねぎとナスは粗めのみじん切りにします。
フライパンにピュアオリーブオイル、エクストラバージンオイルをそれぞれ入れて弱火で温め、ニンニクと生姜を入れ、表面が狐色になるまでじっくりと火入れします。
ニンニクが狐色になる手前の段階で唐辛子を入れます。(辛めがお好きな方はニンニク、生姜と同じタイミングで唐辛子も入れると辛味がよく出ます。またレシピ動画内では唐辛子の種をとっていますが、辛めがお好きな方は種ごと火入れしてください。)
狐色になったら、玉ねぎ、ナスを入れ、塩を振って中火で野菜がしんなりするまで炒めます。
(塩を振ることで野菜の水分を出していきます。)
カットした高野豆腐を入れ、さっと混ぜ合わせます。
野菜の表面が浸かるぐらいの水、トマトペースト、ウスターソース、オレガノ、ナツメグを入れ、弱火で野菜の芯に火が通るまでじっくりと煮詰める。
水分が飛び、具材に味が染み込んだらバジルを加え、さっと混ぜ合わせて火を止める。
③パスタと茹でて、ソースと和える
沸騰した、水重量1%分の塩を入れたお湯にパスタを入れ、中火でゆがきます。
湯がいたパスタをボロネーゼソースに入れ、エクストラバージンオイルと一緒に和えて完成!